毛羽部分ってなんだろう?

どのメーカーの製品にも、毛布の組成(素材)の表記を見ると
【よこ糸(毛羽部分)00% たて糸00%】と書かれています。

「よこ糸、たて糸の意味はわかるけど、毛羽部分って何だろう?」

「どうして、よこ糸、たて糸で分けるんだろう?」

と疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。
そこで、今回と次回のブログは毛布の素材表記について解説していこうと思います。

 

毛布の作り方にも種類があります。

この解説をするには、毛布の作りからご説明する必要があります。

毛布には、その製造方法(織り方や編み方)によって、《織毛布》《タフト毛布》《マイヤー毛布》など名前が付いています。詳しい製造方法の違いは、今回は割愛させていただきますが、その種類によって「たて糸」の部分は「地糸」「基布」と呼び方が変わります。

今回は、最もベーシックで、ベッテンスタジオで扱っている大半は、《織毛布》と呼ばれる種類の毛布(※フリース素材を除く)ですので、《織毛布》の「たて糸」と「よこ糸」という表現でご説明します。

《織毛布》は、たて糸に通常細い綿又は合成繊維製等の糸を使用し、よこ糸に太い毛又は合成繊維製等の糸を使用したよこ二重織の生地のよこ糸に起毛を施した毛布及び一重織の生地の両面に起毛を施した毛布のことです。
「日本毛布工業組合」より引用

 

簡単に説明すると、

細い「たて糸」と太い「よこ糸」を使用し、それらを2重に折り、起毛加工施して作られた毛布のことです。
※起毛加工とは、ふんわりとした肌触りと保温力を増すために、繊維の毛羽を出す加工のことです。

 

では、毛布一枚を作る時「よこ糸」「たて糸」はどれくらいの割合で使われるでしょうか?

毛布は使用する全ての糸を100%とすると、

太く本数が多い「よこ糸」は約86%

細く本数が少ない「たて糸」は約14%になります。

全体の割合で見ると「たて糸」はほんの少ししか使われていないのです。

 

「よこ糸」と「たて糸」の素材

「よこ糸」と「たて糸」は同じ素材を使用する場合と、それぞれ別の素材を使用する場合があります。異なる素材を使用する主な目的は、毛布の耐久性や保温力などを増すためですが、カシミヤなどの高級素材の場合は、コストを抑えられるというメリットもあります。

「よこ糸」と「たて糸」によって織り上がった毛布は、起毛をすることで「たて糸」は完全に包まれ、出来上がった毛布は「よこ糸」のみが表面を覆い、直接肌に触れることになります。つまり、毛布の肌触りは「よこ糸」にどんな素材を使っているかによって決まります。

この肌に直接触れる部分のことを《毛羽部分》と言います。

 

繊維製品品質表示規定

以前、日本では肌に触れる部分の素材が重要視されていたためか、「よこ糸」の組成しか表記していませんでした。

しかし、より正確な情報をお客さまにお伝えするため、2017年、消費者庁により繊維製品品質表示規定が改定され、

「よこ糸(毛羽部分)」=肌に触れる部分

「たて糸」=肌に触れない地糸部分

に分けて組成表記することが義務づけられました。

 

例えば、以下の組成表記の場合は、
・よこ糸(毛羽部分)カシミア100%
・たて糸 ウール100%

肌に触れる部分「よこ糸(毛羽部分)」はカシミアを100%、
肌に触れない部分「たて糸」はウールを100%使用しています。
という意味になります。

ちなみに、日本とヨーロッパでは表記方法が違うので、弊社のインポートの製品には表記の異なるラベルが2つ付いています。次回のブログ「日本語表記と英語表記どちらが正しいの?」で、違いを詳しく説明したいと思います。

 

カシミア毛布ということは…

少々話は脱線しますが、一般的な売り場の商品名(カテゴリー)は、「よこ糸」の素材で表記しています。

例えば、
【カシミヤ毛布】と表示されている場合は、
「よこ糸」にカシミヤを100%使用しています。
「たて糸」は製品によって異なります。
つまり、商品名やカテゴリーを見ると、肌に触れる素材が何なのかがわかるようになっているわけです。

ちなみに、カシミヤ毛布の「たて糸」には、カシミヤ、ウール、ポリエステル、綿などが使用されています。カシミヤに次いで、高品質と言われているのは保温力と耐久性があるウール素材がおすすめです。

品質の順位は、
1位 よこ糸:カシミヤ たて糸:カシミヤ
2位 よこ糸:カシミヤ たて糸:ウール
3位 よこ糸:カシミヤ たて糸:綿
4位 よこ糸:カシミヤ たて糸:ポリエステル
になります。

「たて糸」の素材によっても品質に差が出てきますので、毛布を購入する際にはチェックしてみましょう。